
AIカメラが切り開く交通広告効果の可視化
従来の交通広告では、視認状況や広告効果を正確に測定することが困難でした。広告主は「何人が広告を見たのか」「どの属性に届いたのか」といった効果指標を把握できず、次の施策に活かせないという課題を抱えています。情報過多の現代において、どれだけの“認知”を獲得できたかは広告効果を評価する重要な要素ですが、その実測ができないというのは、長年にわたる業界の課題です。
本記事では、こういった課題を解決する空港デジタルサイネージAirport Dynamic Ad Vision(ADAV)の仕組みと、その効果についてご紹介します。
ADAVとは?交通広告の常識を変える新技術
Airport Dynamic Ad Vision(以下、ADAV)は、羽田空港他、国内12空港に設置されたデジタルサイネージで、これまでの交通広告では不可能だった
“広告効果の可視化”を実現する革新的な技術を保有した広告媒体です。 ディスプレイ上部に設置された2台のAIカメラが、広告配信時間(5:00〜22:00)に稼働し、半径約5メートル以内の通行者情報をリアルタイムで取得・分析します。
AIカメラによる取得データと可視化できる情報
ADAVでは、以下のようなデータを取得可能です。
・ 通行者数
・ 視認者(※視認の定義=筐体上部に設置されたカメラに向かって顔の角度を1秒以上向けた方)
・ 視認時間
・ 性別
・ 年齢
【ADAVの仕組み】 筐体から5m以内で通行者とそのうちの視認者を割り出します

これにより、今まで“感覚”でしか把握できなかった視認実態を、定量データで明確に捉えることができます。
実現可能になった広告効果の高度な分析
これらの仕組みにより、次のような効果も可視化できるようになりました。
・ 1人あたりの広告接触単価の算出(投資対効果)
・ 広告素材ごとの効果測定(クリエイティブテスト)
・ クリエイティブのABテスト(※)
※ABテストとは?: 複数の広告パターンを提示し、どちらがより効果的かを比較するマーケティング手法です。
ADAVの導入によって、広告主は定量データに基づいたクリエイティブの改善を図れるようになり、認知獲得のための戦略精度が大幅に向上します。
プライバシーにも配慮した安全なデータ運用
取得される情報はすべて匿名化されたテキストデータであり、個人が特定されることはありません。また、映像の録画や外部保存は一切行わず、すべてシステム内でのリアルタイム処理によって完結します。プライバシー保護を重視した安心・安全な運用体制が確立されており、通行者に対してもその旨を告知しています。
※ADAVはPanasonicグループのPDC社から技術提供を受けて運営しております。
参考: https://www.pdc-ds.com/service/face_authentication
今後の展開
引き続き、国内有力空港への面拡大を計画しています。 すでに展開中の12空港で国内航空旅客数の60%をカバーしていますが、更に拡張を続け、最終的には70%までカバーすることを一つのゴールとしています。また、それと合わせて3Dクリエイティブを用いた実験、市中のデジタルサイネージとの連携をとることで”1ユーザーの1移動導線上で接触する機会を一層増やしてまいります。
今回の記事は以上です。今後も皆様のマーケティング活動にとってお役に立つ情報提供して参りますのでご期待ください!